大会長挨拶
このたび、2023年9月16日(土)・17日(日)に、日本産業保健法学会第3回学術大会を開催させていただくことになりました。
日本産業保健法学会は、法の知見を基礎としつつ、関係分野の知恵を統合することで、産業保健にかかる不幸な事案を未然に防ぎ、また生じてしまった事案を建設的に解決するため、2020年11月1日に設立されました。
本学会は、法学系(弁護士、法学者、社労士、人事労務等)と医学系(産業医、保健師、看護師、カウンセラー等)が参画し、「最先端の法学、法実務の探求と実践的で親しみやすい法教育の両立を通じ、多職種で産業保健の推進を図る」ことを目的とした学会です。「法知識をベースに多職種の知恵を借りて問題解決を図り、納得いく職業生活を送る人々を1人でも増やすこと」が、この学会の取組の最終目的です。
第3回大会となる今大会は、「第四次産業革命と産業保健制度」をメインテーマとしました。近年の産業保健を取り巻く環境は、働き方改革、新型コロナウイルス対策、テレワーク、安全衛生マネジメントシステム、高年齢者雇用、副業・兼業の促進、治療と仕事の両立支援、化学物質の自律的管理など大きく変化しています。また、企業自体もAI・DXの活用等第四次産業革命により大きく変化しています。そのため、今後産業保健のスコープは必然的に変化していくと思われ、産業保健スタッフがAIに置き換わったり、産業保健部門が淘汰されたりする時代が来る可能性があると思われます。
このような背景の下、今大会では招待講演1「イギリスにおける産業保健職と法」をイギリスの産業保健法学の権威であり、当学会のeditorもお願いしているDiana Kloss教授、教育講演3「フランスの産業保健法制度」をDr. Loïc Lerouge(ボルドー大学1級研究員)と東京大学の笠木映里教授による海外の最新情報をはじめ、「第四次産業革命と産業保健制度」、「フリーランスの健康確保と法」、「化学物質の自律管理と法的責任」、「外国人労働者の健康管理に係る現状と法的課題」、「職場における健康情報の取扱い 〜法学と産業保健実務の橋渡し〜」、「経営層から見た産業保健」等のシンポジウム、また「産業保健に関する行政の動向」等の教育講演、全国社会保険労務士会連合会、日本産業ストレス学会、日本産業精神保健学会、日本職業・災害医学会との連携学会シンポジウム等を企画致しました。法律家をはじめ、産業保健・精神医療・福祉・相談に携わる方々が職域・職種を越えて集い、日頃の産業保健と法に係る最新の成果を発表し、活発な議論を交わせていただけるよう、大会事務局が中心となり、大会準備を鋭意進めてまいりました。
つきましては、現地参加の皆様はもとより、オンラインで参加される皆様方もぜひ積極的に議論の輪に加わっていただきますとともに、オンデマンドでご視聴の皆様におかれましても産業保健と法の最前線に触れ、ぜひ日々の実務に生かしていただければ幸いです。
また、本学術大会の開催に当たりましては、後援、セミナーヘの協賛、寄付、広告等により多大なるご支援を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。
日本産業保健法学会第3回学術大会
大会長 林 剛司